障がい者として働くこと、日常困っていること、健常者との壁を感じること

私が、初めて就職したのは、障がい者職業訓練校を卒業した春でした。
就職が決まるまで、面接や試験を何回受けても落とされ、悔しい思いをしてきた私でも、「ここで負けてはいけない、どうしても就職先を決めたい」という気持ちが溢れていました。
卒業した2ヶ月後、担任の先生に呼ばれ、「受けたい会社の面接ができる」と言われたとき、私はとても嬉しかったです。
一次と二次面接に合格し、採用決定通知が来たとき、とても嬉しい気持ちでしたが、1つがっかりしたのは、パート社員として採用され、正社員になれなかったことでした。
それでも私は、「働く場があることはよいこと、あんなに受けても落ちていたのに感謝だ」と思いました。

障がい者職業訓練校を卒業した私は、大手企業のコンビニエンスストアの会計センターに勤務しました。
千葉県にある会計センターまで、自宅から約1時間の通勤でしたが、通勤ラッシュにはならない逆方向だったため、行きも帰りも余裕で座れました。
10:00~17:00までの6時間勤務でしたが、脳性麻痺の障がいがある私は、制服に着替えるのに人一倍時間がかかるため、30分前に出社することを心がけていました。

入社前、「あなたには、伝票の入力をやってもらいます。パソコンの使い方は大丈夫ですよね」と言われていたとおり、伝票の入力と整理や雑用などが私の業務でした。
間違えてほかのキーに触れず、スムーズに打てるプラスチック製の“キーボードカバー”が必要なことを伝えた私に「わかりました。用意しておきます」と言ってくれました。 私の希望を受け入れ、配慮していただいたことがとても有難かったです。
少しずつ仕事を覚えていった私は、先輩社員さんにも可愛がられ、とても居心地がよかったです。

仕事にも慣れてきたころ、その居心地がよかった会社が移転することになり、どうなるのか心配だった私は移転先に転勤しました。
転勤先は自宅から1時間半ほどかかる埼玉県でしたが、今までどおり仕事ができることが私の不安を取り除いてくれました。
センターで働いていたメンバーや、新しいメンバーが増えた中で働ける喜びをかみしめていた私は、皆さんと楽しく仕事させてもらっていました。
そんな矢先、大きな壁にぶつかるできごとが発生しました。
今までの勤務時間は、10:00~17:00の6時間でしたが、今後13:00~17:00の4時間勤務へと勤務時間が削減されたことは、驚きを隠せなかったうえ、悔しかったです。
入社前、「何年かたったら、正社員のなれる」と上司に言われ頑張っていたのに、「なぜ」と思ってしまう複雑な気持ちでいっぱいになりました。
同時に「4年半勤めたから、辞めなさい」という上司から言えない一言を本人から切り出してもらう「肩たたきなんだ」と思いました。
本当に悔しかった私は、「新しい職場を見つけるまで辞めるものか」という気持ちで働き続けました。

その後、新しい職場が決まった私は、4年半勤めた会社を辞めました。
今思えば、障がい者が一般企業で働く難しさだけではなく、不景気になってしまったら、健常者より障がい者が先に切られていくことを思い知らされました。
弱い立場の障がい者であっても、「前を向いてまた歩き出し、新たな気持ちで進んでいこう」とするのが自分であると同時に、私の誇りと意地でもあります。

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